シャインが支援について語る!─さまざまな支援と求められる心構え

シャインさん、著書を語る, 変革・支援

  • このエントリーをはてなブックマークに追加



 動くシャイン第2弾!
 支援に必要な人間関係を築くには。
 そしてシャインが開発した、「プロセス・コンサルテーション」の前提となる価値観とは。
(白桃書房編集部)

 皆さん、こんにちは。今日は、支援の一般的なプロセスについてのお話をします。私は最初、組織コンサルタントとしてこの問題に直面しましたが、次第に、支援するプロセスは、組織に限らず、個人やグループに対してカウンセリングを行う際にも応用できる手法だということに気がつきました。

 人を支援するプロセスには、支援を必要とする人が存在します。コンサルタントは最初にその人が、どのような支援を必要としているかを正直に打ち明けることができる上、あなたが適切な支援を提供できるような人間関係を作らなければなりません。

そのような人間関係を構築する際にもっとも重要なのは、適切な質問をすることです。これは、「謙虚な問いかけ(注:HUMBLE INQUIRY、『問いかける技術』の原題)」という概念に繋がります。相手との人間関係を構築するには、あなたが理解していないことを誠実に尋ねることがとても重要なのです。これが「謙虚な問いかけ」の基本的な概念です。「謙虚な問いかけ」をされると、クライアントは、あなたが彼らを大事にしている、と感じるようになります。すると、相手は本心を明かせるようになり、あなたは助けることができるようになるのです。

ですから、あなたが支援を提供する前に、質問から始めなければなりません。相手が本当に必要としていることが分かれば、あなたは支援するプロセスをいくつかの選択肢から選ぶことができます。

 最初の選択肢として(<専門家>がよくやるように)、クライアントにこうしなさいという指示を与えるという方法があります。クライアントが指示を必要としているので、指示するのです。しかしこの方法が妥当なことはめったにありません。

 さらに手の込んだ支援のためには、グループであれ組織であれ個人であれ、現状を認識するため診断が必要で、<医者>のように、正式なテストや調査をもとにクライアントの問題点を分析し、何をすべきかの処方箋を書かなければなりません。しかし、どのような処方箋が有効かを見極められるほど、組織の文化を理解することはできませんから、この方法が妥当なこともめったにありません。

 そこで、私は「プロセス・コンサルテーション」という、新しいモデルを開発しました。これは、本質的に、(クライアントである)<あなた>だけが現状を改善する方法を考えることができ、実際に実行できる解決法を探り当てることができる、と、支援者としての<私>が決めることです。

 <私>が<専門家>や<医者>であることをやめて、<プロセス・コンサルタント>になったとしても、<私>は質問、あるいは提案を通してクライアントを支援することができます。「謙虚な問いかけ」やその他の質問を活用するプロセス・コンサルテーションの本質には、「<あなた>だけが最良の解決方法を見つけ出すことができる」という基本的な哲学があります。クライアントが自身の文化的な状況に対処し、たどり着いた解決法を実際に実行できるようにクライアントを助けることが、私の仕事になります。それこそがプロセス・コンサルテーションの真髄なのです。

 その際、「謙虚な問いかけ」という手法を使用するわけですが、それだけが人を支援する方法ではないことにはご注意ください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加