共著者ヴァン=マーネンの語る『キャリア・マネジメント』とキャリアをめぐる環境

キャリア・個人, シャインさん、著書を語る

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 ジョン・ヴァン=マーネン博士(MITスローン校教授)は、『キャリア・マネジメント』の原著であるCAREER ANCHORS Fourth Editionから、著者として名を連ねることとなりました。ヴァン・マーネン博士はもともと、エスノグラフィック・メソッドによる経営組織の研究で著名でしたが、一方で、40年に渡りシャイン博士とキャリアの研究を行い、25年間もキャリア・アンカーの活用をしています。
 今回、『キャリア・マネジメント』の発行元である株式会社プロセス・コンサルテーションの協力により、ヴァン=マーネン博士の、この本、またキャリアをめぐる環境へのコメントを頂戴できましたのでご紹介します。
(編集:白桃書房編集部)



 今日は、『キャリア・マネジメント』についてお話しします。このセットは2014年に出版されたばかりです。
 『セルフ・アセスメント』に始まり、『パーティシパント・ワークブック』というキャリア診断を受ける人向けのワークブックもあります。これは以前出版した版(注:邦訳なし)のおよそ2倍の長さとし、さまざまなエクササイズを加えました。その一つはライフステージとワークライフバランスで、これは若い人から定年間際の人まですべての年齢層にとって、大変重要になってきているものです。
 また、『ファシリテーター・ガイド』もあります。これは、キャリア・アンカーのセッションで講師をする人たちに活用してもらえます。「キャリア・アンカー」のセッションにはさまざまなやり方があり、1時間から1時間半のものから、数日に渡る診断とキャリアカウンセリングの進め方も載せています。

 20年以上ものキャリア研究を通して分かったことは、すべてのアンカーは変わらないということ、でも現れ方は変わったということです。そして、社会や会社で人々が解決しなくてはならない問題は今までにも増して、強烈になってきています。私達は ブッカ・ワールド(VUCCA World)と呼ばれるところに住んでいます。これは、アメリカの略語で、変化しやすく(Volatile)、把握できず(Uncertain)、混沌とし(Caotic)、複雑で(Complex)、多義的な(Ambiguous)世界のことです。こういうものが VUCCA なのです。明日、自分の知る世界が変わってしまうかもしれないような状況で、あなたはどのようにキャリアを管理すればよいのでしょうか。合併、買収、情報技術の活用は組織の大きさを拡張させ、縮小させ、また拡張させ、縮小させたりします。予測不能なのです。
 社会や組織では、より一層、境目がなくなってきています。さらなる国際化がキャリアをさらに変化しがちなものにしており、予測を難しくしているのです。私達はこの変化と不確実性の泥沼において、『キャリア・マネジメント』が、絶えず変化する世界の中で、「キャリア・アンカー」という錨(アンカー)を下ろせる場所を作り、過去、現在、未来に渡り、どのようにキャリアが形成され、今後開発していくか、などを考える手段を提供できればと思います。

vmaanenwithworkbook 私は「キャリア・アンカー」を25年間使っていて、共著者のシャインと40年間研究してきています。私達はいっしょに社会化について研究を始めました。そして、キャリアについて大変興味を持ち、職業人生が営まれている組織を形成する組織文化についてしばしば研究するようになりました。そして、どのようなキャリアが評価されるか、また、どのようにキャリアが開発されるか、管理されるか、得られると期待されるか、などを通して、組織ごとに違いがあることに気が付きました。
 ですから、これは大変面白い、長期にわたるコラボレーションでした。そして、『キャリア・マネジメント』には、「仕事とキャリアの変化する本質」という副題がついています。ですから、私達は職業の側と仕事そのもの、こなすと思っている作業とキャリアについての両方について見るようにしました。職場には職業の文化と組織の文化があります。それらはお互いに作用しあっています。
 概念として仕事と組織を分けるのは簡単です。でも、個人を見てみると、泥のようで、はっきりとした区別はないのです。私達がする仕事は常に組織の中で意味を持ちます。そして、組織の中で何を行うのかは、仕事やスキル、したいことなどに依存しています。ですから、これらの2つは別々にはできません。これは以前の版では扱われていないことです。それで、仕事をすることに伴うキャリアの社会学や変わり続ける仕事の性質、仕事が行われる組織や制度的なコンテクストにもう少し焦点をあてているわけです。

 異なる国や社会集団により大きな文化的な違いがあると私達は考えている一方で、8つのキャリア・アンカー、「経営管理能力」から「自律・独立」、「起業家的創造性」、「生活様式」を考えると、それらは、数という点ではあまり変わらないのではないかと考えています。
vanmaanen1 恐らく、本来のキャリア・アンカーが混ぜ合わされ、分離しにくいということはあるのではないかと思います。でも、それらは比較的安定しています。違うのは現れ方です。それは米国の文化の中、日本の文化の中で変わります。そして、これは、これまで皆が歩んできて認識されてきたキャリアを語るための言語を研究し開発するのによい機会です。

 以上で終わりです。後は歌を歌うだけです(笑)。

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